おたふくかぜ(=流行性耳下腺炎)は、ムンプスウイルスに感染することで発症します。ムンプスウイルスに感染し、症状があらわれるまでの期間は約2〜3週間です。感染力が比較的弱いため、感染しても症状がでない場合もあります。これを不顕性感染とよび、感染者の約2〜3割にみられます。とくに1歳以下の乳児では、不顕性感染が多いといわれています。感染する年齢では、1〜2歳の乳幼児には少なく、3〜10歳の小児にもっとも多くみられます。ムンプスウイルスは、くしゃみや咳などでウイルスが飛び散る飛沫感染(空気感染)、接触感染でうつるため、保育園、幼稚園、小学校など、子どもがたくさんいる場所で流行する傾向があります。




おたふくかぜの特徴は、耳下腺部(耳の下、頬の後ろ側、あごの下)の腫れです。一般的には片側からはじまり、1〜2日間で両側が腫れてきます。片側しか腫れない場合もあります。最初の1〜3日間は、腫れている耳下腺部が痛みます。腫れと痛みがひどい場合は、食べ物をかめない、飲み込めないなどの症状があらわれます。耳下腺部の腫れは1週間〜10日間でおさまります。また多くの場合、発熱もみられます。発熱による頭痛、腹痛などがあらわれる場合もあります。




ムンプスウイルスに感染すると、からだの中に抗体ができるため、その後はおたふくかぜを発症することはありません。つまりおたふくかぜは、一度かかればその後はかからないということです。しかし、おたふくかぜと同じように、感染することで耳下腺部が腫れるウイルス(コクサッキーウイルス、サイトメガロウイルスなど)もあり、症状だけではおたふくかぜとの判別が難しい病気もあります。何度も耳下腺部が腫れる反復性耳下腺炎という病気もあります。また、おたふくかぜにかかったことがないと思われている場合でも、不顕性感染のため症状がでなかっただけで、実際は感染した経験のある方も少なくありません。おたふくかぜにかかったことがあるかどうかは、血液検査をし、ムンプス抗体を測定することで確認できます。耳下腺部の腫れ、発熱など、おたふくかぜが強く疑われる症状がある場合、ムンプス抗体検査は保険適用となります。しかしそれ以外の場合(とくに症状がなく、おたふくかぜにかかったことがあるかどうかの確認だけをする場合など)には、保険適用外となりますので、診察時にご相談ください。




ムンプスウイルスの感染期間(人からうつる、または人にうつす期間)は、耳下腺部の腫れがあらわれる前後5日間と考えられています。耳下腺部の腫れる前、または不顕性感染で症状がでていない人では、ムンプスウイルスに感染しているかどうかがわからず、その間に他人にうつしてしまう場合があります。とくに集団の場では、一人が感染していると、症状がでる前に大勢に感染していることも多いため、自己予防は難しいといえます。ただし、予防接種(おたふくかぜワクチンの接種)をすることでからだの中に抗体をつくり、おたふくかぜにかからないようにすることは可能です。おたふくかぜワクチンによる予防効果は約90%と考えられています。また感染することがあっても、比較的軽症となる場合が多いです。




おたふくかぜでは、症状に対する治療が主になります。

○ 薬物療法 :
一般的には、消炎鎮痛剤、解熱薬など、症状や体質などから医師が判断し、もっとも必要な薬を最小限の種類と量で処方します。また症状がひどい場合には、抗生物質などの注射をすることもあります
○ ライフサポート :
おたふくかぜは人にうつる病気なので、耳下腺部の腫れがひいてから3日間は外出をさけるように指導します。また耳下腺部が腫れている間は、よくかまなければいけない食品や酢っぱい食品はさけるように指導します




おたふくかぜから合併する病気(髄膜炎、脳炎、精巣炎、卵巣炎、心筋炎など)があります。下記の症状がある場合は、必ず診察を受けてください。

○ ひどい頭痛、発熱、嘔吐、下痢、けいれんなどの症状がある
○ 1週間以上たつのに、耳下腺部の腫れがひかない
○ 熱が5日間以上続く
○ 耳下腺部の腫れが赤くなる
○ 男性では睾丸の痛み、女性では下腹部痛がある









平成14年6月1日 作成・アップ
編集・監修:中島 章(医師)